我が国に於けるふぐ毒性の解明は近年のことです。明治25年頃、ふぐの種類、臓器別の毒性が研究され、明治42年に至って田原良純博士らにより物理科学的性質の研究の結果、かなり純粋な状態の毒素が取り出され、有名な「テトロドトキトシン(tetrodotoxin)」と名付けられました。
昭和10年代になると、福田得志、谷巌両博士によるふぐ毒の中毒的調査研究が行われ、今日の安全なふぐ料理の科学的基礎となりました。

下記の表から見られる様に、ふぐの種類によっては猛毒種から無毒種まであり、また臓器の種類でも異なり、また筋肉は無毒か弱毒でも卵巣や肝臓は猛毒で同じ生殖腺でも雄の精巣は無毒だが雌の卵巣は猛毒といった臓器差にも特徴があります。



  各種ふぐの最高毒力表(谷巌博士による)

科名
種類
卵巣
精巣
肝臓
血液
マフグ科 クサフグ
 
コモンフグ
 
ヒガンフグ
ショウサイフグ
 
マフグ
 
メフグ
 
アカメフグ
トラフグ
シマフグ
 
ゴマフグ
 
カナフグ
 
サバフグ
 
カワフグ
 
キタマクラ科 キタマクラ
 
 
ハリセンボン科 ハリセンボン
 
 
イシガキフグ
 
 
ハコフグ科 ハコフグ
 
ウミスズメ
 
イトマキフグ
 


 
体重20gのマウス1匹を30分で殺す毒量を1MUという。

無毒(10MU以下) 1kg以下では致死的ではない
弱毒(10〜100MU) 100g以下では致死的とはならない
強毒(100〜1,000MU) 10gでは致死的とはならない
猛毒(1,000MU以上) 10g以下で致死的となる

●各種ふぐの毒性差

更に谷巌博士は、ふぐには季節差があり、産卵期直前の卵巣や肝臓は最も毒性が強く、産卵後は毒力が減退することを明らかにしています。また、同じ種類でもここのフグによって毒力の差があり、個体差が大きいのも特徴です。また同じ種類のふぐでも地域によって毒性が異なるという地域差もふぐの毒性の特徴として最近注目されています。

このようにふぐの毒性または頻度については、1.種類差、2.臓器差、3.個体差、4.季節差、5.地域差が特徴としてあげられます。


毒性の頻度(谷巌博士による)


(注)検査個体のなかの有毒個体数/検査個体数 のパーセント

●ふぐ毒性の性質

ふぐ毒は青酸カリの約1,000倍に匹敵すると言われていますが、中毒症状を現すまである程度時間がかかるので、青酸カリの方が強い様に思われがちです。しかし毒量からするとふぐ毒の方がはるかに少量で中毒や死亡に至らしめることが可能です。

ふぐ毒の特徴

ふぐ毒は猛毒なので、その恐ろしさを充分理解しなくてはなりません。中毒を起こす経過は、食べた臓器中のテトロドトキシンが胃腸から吸収され、筋肉の末梢神経を侵すことによります。中毒に気づいたら胃腸内に残る毒性分を速やかに嘔吐などにより体外へ出すことが重要です。ある程度のテトロドトキシンは体内で分解され排泄されたりもしますが、この早期処置の適否は生死を分ける結果となることもあります。このため必ず医師による救急処置を受けなければなりません。


初期の自覚症状
 
特に顔面、唇、舌端に軽いしびれと、次に手指の先端の知覚や運動が鈍り、頭痛・腹痛を感じることもある。嘔吐は必発ではないがしばしば伴う。軽傷の場合はこの程度で治ることもある。

症状が更に進行すると
 
必発ではないが、頭痛・腹痛・激しい嘔吐を伴う場合があるのと、四肢の運動不能が広がり、やがて起立・歩行が困難となり知覚麻痺・言語障害・呼吸困難どくjを伴う。

更に中毒症状が進むと
 
全身運動神経麻痺があらわれ、筋肉の弛緩によって身動きはおろか指先さえ動かせなくなり、呼吸も困難となる。チアノーゼ(唇が紫色になる)を起こし発声はできるが言葉にならず自分の意思を他人に伝えることができなくなる。血管運動麻痺によって血管は拡張し血圧が低下する。言語障害、嚥下困難となる。まだこの頃は意識は明瞭である。

症状が更に進むと末期を迎える
 
意識は明瞭であるが反射機能も消失し、血圧も一段と低下。やがて意識も混濁し、呼吸麻痺によって呼吸が停止するが心臓はしばらく拍動を続ける。

 

   
 

 


 

 

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